朝に読みたい言葉~『こころの深呼吸より』


思い通りにならなくても

はじめに紹介したいのは、『こころの深呼吸』の14日の言葉です。

すべてが自分の思った通りになれば、結局、自分が思っている程度の人間にしかなれません。思った通りにならないからこそ、ときどき思いがけない試練がやってくるからこそ、自分の想像をはるかに超えて成長することができるのです。

 今日という日を自分の思い通りにしたい、「こう生きなければならない」と思うと、苦しいと思います。心にも新鮮な空気が必要だと思います。新鮮な空気は、心を空っぽにしていれば、新しい空気がはいってきます。

 片柳弘史神父は、111日に「実力以上の結果を出そうとすれば、緊張して実力さえ出せなくなります。これまでの積み重ねを信頼して全力で挑むとき、一番よい結果が得られるのです。ありのままの自分をさらけ出す勇気を持ちましょう。」といいます。つい、人は「何ができるか」で評価してしまいます。何か特別なことをしなければならないと思って、背伸びして自分を偽ってしまいます。しかし、片柳弘史神父は「ありのままの自分をさらけ出す勇気を持ちましょう」といっています。

 片柳神父は128日で「弱さや欠点から目をそらし、自分は有能な人間だと思い込むのは、自己受容ではなく自己陶酔。自己受容とは、自分の弱さや欠点を直視し、弱くて欠点だらけの自分を、それでもかけがえのない自分として受け入れるということです。」といいます。片柳神父は、弱くて欠点だらけの自分でも受け入れる大切さを書いています。

弱くて欠点だらけの自分をみると、「私って、ダメだな」と思ってしまうかもしれません。私自身もとてもネガティブな性格をしています。自分をみると、ダメなところしかみえなく、自分を否定してしまうことがあります。しかし、弱さをなくそうと必死にもがいているのに、「弱くても、あなたは大切な存在」と言われると、「本当に?」と思って、嬉しくなります。神さまがいるから、「私は私のままで、神さまに愛されている」と喜べるのだと思います。朝おきたときまず感じたいのは、この「私で今日もよいんだ」という安心感だと思います。「自分が愛されている」と思えると心は安心し、ゆっくり呼吸をととのえることができると思います。

 

聖書から

なぜ、ありのままでいいのでしょうか。それは、神さまが私たちを、ありのままに愛しているからだと思います。この順序が大切だと思います。愛されるために神さまを愛するのではない、ということです。まずはじめに神さまが愛してくださった。そこから、一日がはじまるのです。旧約聖書のエレミヤ書には、次のように書いてあります。


遠くから、主はわたしに現れた。

わたしは、とこしえの愛をもって

あなたを愛し

変わることなく慈しみを注ぐ。

エレミヤ書 31:3 新共同訳

 

神さまは、永遠の愛をもって、一人一人を愛しておられます。

「今日も他人に認められるために、必死に生きなければならない」と一日がはじまったらしんどいと思います。

「いつ認めてくれるのかな?」「いつ評価してくれるのかな? 私はこんなにも頑張っているのだから、もっと見てほしい」となってしまいます。それだと、表情からほほえみが消えてしまうのではないでしょうか。朝おきてまず感じたいのは、「私は愛されている。自分は自分で良いんだ」と安心するところから、一日をはじめたいと、私は個人的に思っています。

 


野に咲いている花や、空を飛んでいる鳥

朝は、バタバタしてしまいますよね。そんなときに読みたいのが『こころの深呼吸319日の言葉です。

野の花は、自分の存在にどんな意味があるのかと、考えて悩むことも、他の花と美しさを競い合うこともありません。ただ、自分の花を精いっぱいに咲かせるだけです。野の花から、生き方を学びましょう。」 

 悩み事や不安、恐れで心がいっぱいになったときは、自然の世界で生きている、野の花や懸命に生きる鳥たちの姿をみることを、本書はすすめています。花や鳥たちは、他の誰かと比べるのではなく、目の前のことに精一杯生きているように感じます。タンポポはタンポポの花を咲かせ、バラにはバラの花を咲かせます。無理にタンポポの花がバラの花を咲かせようと思っても、枯れてしまうのではないでしょうか。人がのびのびと生きられるのは、やっぱり神さまに創られた自分という花を咲かせるときだと思います。

私自身は、できないことも「できます」と言って、失敗してしまったことがあります。自分にはブライドがあり、「できる人間」だと思われたくて必死になっていました。しかし、やればやるほどうまくいきません。私は、嘘をついて信用を失ってしまいました。私は、むしろ「できることはできる。できないことはできない」と、正面から言えばよかったと、後悔しています。片柳神父は131日で「忙しい」は、「心を亡くす」と書きます。たくさんの仕事に追われているとき、わたしたちは自分を守るのに必死で、人を思いやることができなくなってしまうのです。人を思いやる心を失うほど、自分を追いつめないようにしましょう。 

と書いています。つい、することがたくさんあると、パニックになってしまいます。

今日も、「あれもこれもしなければならない」となると、なんだか、心も沈んできます。忙しすぎると、自分の実力すらも発揮することもできなくなります。優先順位をつけて、一つ一つ丁寧に着実にしてゆけばよいと思います。困ったときは相談して、新しい方法を一緒に助け合って探してゆきたいです。